「EPOCH」RIP SLYME

自分の中でHipHopという音楽は
まだそれほど浸透してないという現状ではあるけど
曲のMIXにROCKのエッセンスが混ざっていると
不思議と興味を持って聴きこんでしまう。
まあMIXTURE ROCKと同じ原理なんだけど。
そのきっかけを作ったのがRIP SLYMEだった。
RIPの楽曲はすんありと聞き入ることが出来る。
それはDJ FUMIYAの曲作りの手腕から成せる技であり
決して何事にも囚われない自由な音楽性である。
RIP SLYMEはある種「ROCKなHipHop」の走り的存在だ。
ただくるりとのコラボレーションは予想外だった。
しかもマッシュアップ形式だった布袋寅泰氏とのコラボ
(これも意外だったけど)とは違い
お互いに違ったジャンルで楽曲を制作するという手法である。
つまり「リップスライムとくるり」名義の曲「ラヴぃ」は
くるりのメンバーがFUMIYAと同じ環境でトラックを製作して
一方「くるりとリップスライム」名義の「juice」は
くるりのバンド演奏に合わせてRIPの4MCがリリックを書いたらしい。
(「bridge」誌によると両者かなり大変だったとか)
だけどこれが意外にも見事にマッチングしてあり
完成した2曲はお互いの良い部分を活かした作品となった。
そのころDJ FUMIYAはというと
トラック作りに生じたストレスが原因で病気になってしまい
仕事をしばらく休止して沖縄で療養中であった。
そしてこのアルバム「EPOCH」が彼の復帰作である。
まずアルバム全体においてネガティヴが全く感じられない。
療養でFUMIYA氏が吹っ切れたのか
理屈抜きのポジティヴテイスト溢れる作品になっている。
シングル曲「ブロウ」はRIPのテイストが至るところに散りばめられ
その次の「island」は嫌なことが無いかのようなゆるっぷりで
ラストの「Wonderful」では全快にして
根っから盛り上がる極上パーティチューンとなっている。
RIP SLYMEが最もヤバかった時期を経て制作したのに
最も油の乗っている時期に制作したかのような1枚だ。
嫌なことを乗り越えたからこそ次に開ける。
人間、ポジティヴで生きよう。