「FLORA」ART-SCHOOL

Flora(初回限定盤)(DVD付)

Flora(初回限定盤)(DVD付)

とことんDEEPでNEGATIVEな音を放つART-SCHOOLだが
このアルバムはかなり混沌とした印象がある。
過去に出た彼等の音源におおよそ二種類あって
1つは攻撃的で精神的にギラついた音
(「Requiem for Innocence」「Missing」)、
そしてもう1つは精神的には落ち着いてはいるが
絶望だらけの世界に漂っている印象のある音
(「LOVE / HATE」「PARADISE LOST」)である。
だけどこのアルバムに至っては
失望と絶望と希望の3つの世界が混じっている。
さらに付け加えるならば
失望から絶望、そして希望へと
アルバム全体を通して流れているような印象があるのだ。
序盤では凄く失望感と喪失感に満ちており
中盤になると重く深い絶望の闇の淵に浮かんでいるが
後半に入ると一転して世界観が変わり
不幸とか絶望とかそういう暗い世界から
這い上がって行こうと積極的で激情に満ち溢れている。
これを「希望」と呼ぶのは変かもしれないが
ほんの少しの「希望」へ向かっている感じがする。
これはバンドの中心である
木下理樹氏自身の心象の変化かもしれないと思う。
アルバムのターニングポイントは8曲目の「Mary Barker」。
ART-SCHOOLにしては珍しく優しいイメージがある曲は
ギターの戸高賢史氏によって創られたもの。
初めて他者の曲を取り入れることによって
バンドをより前向きな方向へと導いている。
「絶望」から「ほんの少しの希望」へ。
ART-SCHOOLは新たな方向へと第一歩を踏み出した。