「Seediq Bale」ChthoniC

サイディク・バレイ(DVD付)

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BLACK METAL 第3弾。
でも今回はこれまでの北欧発のBANDとは違い
台湾のBLACK METAL、ChthoniCである。
キャリアは10年を越えており
台湾のアンダーグラウンドのカリスマ的存在だ。
今年OZZ FESTに出演を果たしワールドワイドに活躍中だ。
台湾産BLACK METALと言われてもピンと来ないと思うが
これが想像以上に凄いのである。
演奏は伊達に10年のキャリアを持つだけあって上手く
特にDrがこれまた半端ない押しっぷりで頼もしい。
またBaは女性(Doris)でミニスカートの衣装が妖絶だが
その姿から想像できないほど野太いビートを刻んでいる。
注目はやはりOriental Violin奏者の存在。
Oriental Violinとは「ニ胡」のことであり
女子十二楽坊が使ってる「アレ」と言えば分かるだろう。
このニ胡のメロディがアジアンテイストを引き出し
東洋独特の世界観が見事に表現されているのが素晴らしい。
彼等はこのテイストで自らの国=台湾の悲劇的な歴史を
自らのアイデンティティーを込めて表現している。
通常BLACK METALは政治的もしくは宗教的思想が存在するが
彼等はそうではなく史実をテーマにして
BLACK METALに置き換えて表現しているのである。
(CRADLE OF FILTHみたいなもの)
本作では旧日本による植民地時代に起きた悲劇を
題材にした曲もあるがそこには反日的思想は一切無く
ただ起きた史実を再現しているに過ぎないのだ。
それでいてどこか物悲しい雰囲気を思わせるのは
やはりOriental Violinの成せる技なのであろう。
本作はかなりROCKな1枚だと思う。
激動の時代を掛け抜けた「台湾」の歴史を見つめ直し
「台湾」の一人の人間としてどう生きていくか。
彼等はそれを掲げて叫び倒すのである。
粋なBLACK METALだ。