「Inspiration is DEAD」凛として時雨

Inspiration is DEAD

Inspiration is DEAD

これは事件である。
2007年は9mm Parabellum Bulletミドリ
チョモランマトマトthe brown
数々の衝動的な音楽性の邦楽BANDが出てきたが
その真打というか“最狂型”とも言うべき1枚が出た。
最重要衝撃BAND、凛として時雨の新作だ。
凛として時雨は去年「Feeling your UFO」でも述べたが
人間的にも感情的にも凄まじすぎる演奏と同時に
甲高く強烈な男性Voと透き通った女性Voが叫びの応酬をする
邦楽ROCK界に先天の一撃を与えたBANDである。
そんな彼等の想像を絶する攻撃型ROCKは健在であり
冒頭から体が震え出すような音の洪水が舞い降りる。
今回は何よりピエール中野氏の猛攻なドラミングが凄い。
鋭利な叩きっぷりで一気に攻めまくるスタイルのドラマーは
これまでNUMBER GIRL
アヒトイナザワ氏が最強だと思っていたが
自分の中では完全にさらに上を行く勢いだ。
もちろんDrのみならず演奏の息の良さは驚くほどで
とことんカオスと化したノイズがパッと止んだ直後に
静寂の中で流れ出すGtのメロディはもう鳥肌モノだ。
さらに曲の全てがカオスというわけでもなく
中盤にある「am3:45」では
プログレを思わせるほど深く精神的な音の風景が現れ
やがてそれが混沌へと流れ出す音による描写が描かれる。
そしてラストの「夕景の記憶」では
打って変わってゆっくりとメロディと唄が鳴り響き
壮大で壮絶なラストへと向かって行く仕上がりにある。
静寂・破壊・混沌、それらの感情が
たった3人の演奏によって見事に表現され
緊張感と絶望感、そして絶頂感を同時に得る狂気のROCK。
人はここまで壊れるのか。