「Elect the Dead」SERJ TANKIAN

エレクト・ザ・デッド

エレクト・ザ・デッド

今更言っても仕方ないのだが
2005年の洋楽のBEST ALBUM OF THE YEARは
SYSTEM OF A DOWNの「MEZMERIZE」
と「HYPNOTIZE」の2枚だ。この2枚のアルバムに込められた独自の音楽性と圧倒的な存在感、
そして痛烈な皮肉が篭ったメッセージは強烈な一撃で
このBANDの怪物ぶりを知らしめる名盤となった。
ところがそれから一年後に彼等は活動休止。
結局2001年以降、一度も来日してなかったりする。
彼等のLIVEはネットで映像を見たことがあるが
これまた唯我独尊状態で不気味に笑うGtのDaronと
奇妙に動き高らかに唄い上げるVoのSerjiが印象的だった。
そのSerjiがSERJ TANKIAN名義でソロ活動開始。
で、出てきたのがこのALBUMである。
やはり面白いな〜この人は。
SerjiのVoといえばオペラ出身を活かした渋い高音の声質に
まるで人をおちょくったかのような倍速かつ変幻自在の喋りっぷりで
今作でもそれは当たり前かのように健在。
さらに当たり前かのように
誰も予測できない展開で暴れる変拍子ROCK SOUND!
要するにSYSTEM OF A DOWNの要素が満載である。
だけどちょっと違っている点もあって
それはクラシカルで芯の通ったピアノの伴奏と
まるで映画のサントラのようなメロディワークで
この2点がSOADとは違うソロならではの作風だ。
何よりも強烈だったのは歌詞やVo、音楽性に散りばめられた
世間の情勢(特に某大国の某大統領)に対する
怒りと想像と皮肉に満ち溢れた鉄槌のメッセージそのもの。
恐らくこれは過去最強とも言えるだろうか。
某国の民主主義及び軍事攻撃にストレートに吼え上げる
「The Untbinking Majority」、
笑っちゃうぐらい「金!!!」を連発する「Money」、
溢れる激情と絶望に満ちた切なさが彩る「Saving Us」と
一曲聞くごとにズシリと重いものを感じる。
でも最後は深く慈愛に包まれたような曲で本編は幕を閉じ
それは一つ演劇を見終わったかのような感じに包まれる。
究極のDEATH ROCK OPERA