「LEAD SAILS PAPER ANCHOR」ATREYU

レッド・セイルズ・ペイパー・アンカー

レッド・セイルズ・ペイパー・アンカー

多彩。まさにこれに尽きる。
彼等ATREYUがシーンに現れた当時は
最も勢いのあるSCREAMO BANDというイメージがあったが
この最新アルバムではもう完全にその域を脱却している。
とは言っても訳あって(つうかVI●TO●Y RECORDSのせいで)
日本では発売されなかった前作において
ATREYUの音楽性は著しく幅広い方向へと変化しており
今回それがようやく完成に至ったというところだ。
最大の変化はVoで以前は
フロントマン(Alex Varkatzas)が激烈なスクリームを轟かせ
後方でDr兼Vo(Brandon Saller)がメロディックを唄っていたが
そのフロントマンのAlexがスクリーム専門から脱却して
ロディックな歌声を披露するようになったのが今のスタイルだ。
だからと言ってBrandonがDrに専念したというわけでもなく
2つのメロディックなVoに時折スクリームが混ざっている状態。
でも2人のVoには唄い方や声質がはっきり違っており
(AlexはストレートなVo、Brandonは高くて伸びのあるVo)
帰ってVoの引き出しが広くなったから面白い所だ。
さらに変わったのは彼等の曲そのものにもあり
重厚なHEAVY ROCKや加速するMETAL TUNE、
さらに妙に華やかなメロディックさも加わって
「多彩」で「強靭」なるATREYU SOUNDの進化系を放っている。
ただこれほど懐の広い音楽性だと
彼等の本質的な部分がいまいち分かりにくい所もある。
そこを強化していくのが彼等の今後の課題とも言えるかも。
でも聴いて損は無い。LOUD ROCKの進化系がここにある。